1.はじめに
最近、リン酸鉄・リチウム・イオン・バッテリー(LFP)、ナトリウム・イオン・バッテリー(SiB)、チタン酸・リチウム・イオン・バッテリー(LTO)など新しい二次電池が続々と発売され入手可能になってきました。
一般に、リチウム・イオン・バッテリー(Li-Po含む)の充電は、CCCV充電方式が用いられますが、LFPやSiB、LTOなどもCCCV充電方式が推奨されています。
しかしながら、これらのすべてのバッテリーに対応した充電器が無いのが現状です。
今後も新しいタイプのバッテリーが出てくることが予想されるので、様々なタイプのバッテリーに対応出来るCCCV万能充電器を作ってみました。
2.機能
●CCCV充電器
3.仕様
●電源電圧 : 8~12V
●充電電流(CC) : 0.1~2.0A (設定0.1Aステップ)
●充電電圧(CV) : 1.0~4.5V (設定0.1Vステップ)
●セル数 : 単セル専用
4.回路図
5.部品表
部品番号 |
部品名 |
仕様 |
メーカー |
備考 |
IC1 |
マイコン |
ATmega88V-10PU |
MicroChip Technorogy |
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IC2 |
三端子レギュレータ |
TA78L05S |
東芝 |
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IC3 |
電流センサ |
INA250A4 |
Texsas Instruments |
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IC4 |
シャント・レギュレータ |
uPC1093 |
Renesas Electronics |
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LED1 |
LED |
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|
赤色 |
Q1 |
抵抗内臓トランジスタ |
RN1202 |
東芝 |
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Q2 |
PNP トランジスタ |
2SA1015 |
東芝 |
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Q3 |
NPN トランジスタ |
2SC1815 |
東芝 |
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Q4 |
Pch MOS FET |
MTB060P0613 |
CYStech Electronics |
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D1~D2 |
ショットキー・バリア・ダイオード |
SB340LS |
Panjit International |
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C1~C2 |
アルミ電解コンデンサ |
100uF/25V |
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C3~C7 |
セラミックコンデンサ |
0.1uF/25V |
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C8~C9 |
アルミ電解コンデンサ |
470uF/25V |
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低インピーダンス品 |
C10 |
アルミ電解コンデンサ |
10uF/25V |
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R1~R2 |
抵抗 |
10kohm |
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R3 |
抵抗 |
470ohm |
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R5~R6 |
抵抗 |
100kohm |
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1%品 |
R7 |
抵抗 |
100ohm |
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R8 |
抵抗 |
330ohm |
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R9 |
抵抗 |
3.3kohm |
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L1 |
インダクタ |
47uH / 3A |
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SW1~SW5 |
タクトスイッチ |
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LCD1 |
キャラクタLCD |
SC1602BS |
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16*2 |
6.マイコンプログラム
自作する場合は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
下記ファイルをダウンロードしてマイコンへの書き込みを行って下さい。
(右クリックで ”対象をファイルに保存” を選択)
LC900.hex
書き込み時の設定
・FUSE 0xF9(Extended_byte)、0x9E(High_byte)、 0x72(Low_byte)
・LOCK 0xFF
7.動作説明の詳細
充電が開始されると、LEDが点灯し、バッテリー電圧がCVで設定した電圧の2/3を超えるまでは、CCで設定した電流の1/8で充電を行います。
(バッテリーが過放電状態で無ければ、このプロセスは、すぐに終了し、CC充電に移行します)
次にCC充電に移行し、バッテリーを一定電流(CC)で充電していきます。
するとバッテリー電圧は徐々に上昇していきます。
やがて、設定電圧(CV)に達するとCV充電に移行します。
CV充電とは、設定電圧(CV)を維持したまま充電を続けることです。(つまり充電電流は徐々に絞られていくことになる)
充電電流がCCで設定した電流の1/8以下になったところで充電完了となり、LEDは消灯します。
8.使い方、調整
8~12Vの電源を接続します。
次にボリュームVR1をまわして、LCDが見やすくなるように調整します。
タクトスイッチSW1(down)、SW2(up)を押下してCC充電時の電流を設定します。
さらに、タクトスイッチSW3(down)、SW4(up)を押下してCV充電時の電圧を設定します。
被充電バッテリーを接続します。(最初から接続しておいてもOK)
最後にタクトSW5(start/stop)を押下すると、充電が開始しされます。(再度SW5を押下すると充電を停止します)
例として、1000mAHのリチウム・イオン・バッテリーを充電する場合について述べます。
充電レートを0.5Cとした場合、CC=0.5A、CV=4.2Vに設定します。
充電レートを上げると充電時間を短く出来ますが、バッテリーを痛める可能性があるので、0.5C程度が良いかと思います。
充電レート0.5Cの場合、計算上は2時間で充電完了となる筈ですが、CV充電で電流を絞っていますから、
実際の充電時間は3時間程度になるかと思います。
リチウム・イオン・バッテリーのCVについての個人的な見解ですが、通常CV=4.2Vに設定されていることが多いようです。
しかし、この電圧は少しでも容量を大きく見せるため、かなり攻めた電圧のように感じます。
安全性やバッテリー寿命の点から見ると、CV=4.0~4.1V程度でも良いのではと思っています。
バッテリーの種類 |
参考設定CV |
リチウム・イオン・バッテリー(LiB) |
4.2V |
リン酸鉄リチウム・イオン・バッテリー(LFP) |
3.6V |
ナトリウム・イオン・バッテリー(SiB) |
4.0V |
チタン酸リチウム・イオン・バッテリー(LTO) |
2.7V |
9.注意
この充電器は単セル専用です。直列接続されたバッテリーの充電はできません。
充電レートの最大値はバッテリーにより異なります。CCの設定が最大充電電流を超えないようにしてください。
バッテリーの最大電圧を超える設定(CVの設定)を行うとバッテリーを劣化させるばかりではなく、火災の危険もありますので、注意してください。