LC90

万能CCCV充電器                                                    2025/07/08






1.はじめに
 最近、リン酸鉄・リチウム・イオン・バッテリー(LFP)、ナトリウム・イオン・バッテリー(SiB)、チタン酸・リチウム・イオン・バッテリー(LTO)など新しい二次電池が続々と発売され入手可能になってきました。
一般に、リチウム・イオン・バッテリー(Li-Po含む)の充電は、CCCV充電方式が用いられますが、LFPやSiB、LTOなどもCCCV充電方式が推奨されています。
しかしながら、これらのすべてのバッテリーに対応した充電器が無いのが現状です。
今後も新しいタイプのバッテリーが出てくることが予想されるので、様々なタイプのバッテリーに対応出来るCCCV万能充電器を作ってみました。



2.機能
 ●CCCV充電器



3.仕様
 ●電源電圧    : 8~12V 
 ●充電電流(CC) : 0.1~2.0A (設定0.1Aステップ)
 ●充電電圧(CV) : 1.0~4.5V (設定0.1Vステップ)
 ●セル数     : 単セル専用



4.回路図




5.部品表
部品番号  部品名  仕様  メーカー  備考 
 IC1  マイコン  ATmega88V-10PU  MicroChip Technorogy  
 IC2  三端子レギュレータ  TA78L05S  東芝  
 IC3  電流センサ  INA250A4  Texsas Instruments  
 IC4  シャント・レギュレータ  uPC1093  Renesas Electronics  
 LED1  LED      赤色
 Q1  抵抗内臓トランジスタ  RN1202  東芝  
 Q2  PNP トランジスタ  2SA1015  東芝  
 Q3  NPN トランジスタ  2SC1815  東芝  
 Q4  Pch MOS FET  MTB060P0613  CYStech Electronics  
 D1~D2  ショットキー・バリア・ダイオード  SB340LS  Panjit International  
 C1~C2  アルミ電解コンデンサ  100uF/25V    
 C3~C7  セラミックコンデンサ  0.1uF/25V    
 C8~C9  アルミ電解コンデンサ  470uF/25V    低インピーダンス品
 C10  アルミ電解コンデンサ  10uF/25V    
 R1~R2  抵抗  10kohm    
 R3  抵抗  470ohm    
 R5~R6  抵抗  100kohm    1%品
 R7  抵抗  100ohm    
 R8  抵抗  330ohm    
 R9  抵抗  3.3kohm    
 L1  インダクタ  47uH / 3A    
 SW1~SW5  タクトスイッチ      
 LCD1  キャラクタLCD  SC1602BS    16*2



6.マイコンプログラム
自作する場合は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
下記ファイルをダウンロードしてマイコンへの書き込みを行って下さい。
(右クリックで ”対象をファイルに保存” を選択)

LC900.hex

書き込み時の設定
・FUSE  0xF9(Extended_byte)、0x9E(High_byte)、 0x72(Low_byte)
・LOCK 0xFF



7.動作説明の詳細
 充電が開始されると、LEDが点灯し、バッテリー電圧がCVで設定した電圧の2/3を超えるまでは、CCで設定した電流の1/8で充電を行います。
(バッテリーが過放電状態で無ければ、このプロセスは、すぐに終了し、CC充電に移行します)
次にCC充電に移行し、バッテリーを一定電流(CC)で充電していきます。
するとバッテリー電圧は徐々に上昇していきます。
やがて、設定電圧(CV)に達するとCV充電に移行します。
CV充電とは、設定電圧(CV)を維持したまま充電を続けることです。(つまり充電電流は徐々に絞られていくことになる)
充電電流がCCで設定した電流の1/8以下になったところで充電完了となり、LEDは消灯します。





8.使い方、調整
 8~12Vの電源を接続します。
次にボリュームVR1をまわして、LCDが見やすくなるように調整します。
タクトスイッチSW1(down)、SW2(up)を押下してCC充電時の電流を設定します。
さらに、タクトスイッチSW3(down)、SW4(up)を押下してCV充電時の電圧を設定します。
被充電バッテリーを接続します。(最初から接続しておいてもOK)
最後にタクトSW5(start/stop)を押下すると、充電が開始しされます。(再度SW5を押下すると充電を停止します)

 例として、1000mAHのリチウム・イオン・バッテリーを充電する場合について述べます。
充電レートを0.5Cとした場合、CC=0.5A、CV=4.2Vに設定します。
充電レートを上げると充電時間を短く出来ますが、バッテリーを痛める可能性があるので、0.5C程度が良いかと思います。
充電レート0.5Cの場合、計算上は2時間で充電完了となる筈ですが、CV充電で電流を絞っていますから、
実際の充電時間は3時間程度になるかと思います。
 リチウム・イオン・バッテリーのCVについての個人的な見解ですが、通常CV=4.2Vに設定されていることが多いようです。
しかし、この電圧は少しでも容量を大きく見せるため、かなり攻めた電圧のように感じます。
安全性やバッテリー寿命の点から見ると、CV=4.0~4.1V程度でも良いのではと思っています。

 バッテリーの種類  参考設定CV 
 リチウム・イオン・バッテリー(LiB)  4.2V
 リン酸鉄リチウム・イオン・バッテリー(LFP)  3.6V
 ナトリウム・イオン・バッテリー(SiB)  4.0V
 チタン酸リチウム・イオン・バッテリー(LTO)  2.7V



9.注意
この充電器は単セル専用です。直列接続されたバッテリーの充電はできません。
充電レートの最大値はバッテリーにより異なります。CCの設定が最大充電電流を超えないようにしてください。
バッテリーの最大電圧を超える設定(CVの設定)を行うとバッテリーを劣化させるばかりではなく、火災の危険もありますので、注意してください。